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日比野五鳳(ひびのごほう、本名は信、1901-85)は「大字仮名運動」を広めた一人で、戦後の書壇に大きな影響を与えた仮名書家である。代表作に、昭和26年(1951)の「浦島の歌」(日比野五鳳記念美術館所蔵)や、昭和43年の「ひよこ」(東京国立博物館)がある。昭和58年に文化功労者に選出された。筆先の命毛が常に紙面に垂直に当たる直筆と、筆先を露わにしない蔵鋒を強く意識した書作品を制作した。 本品は五鳳の生前に発表されることのなかった作品である。具引きした白の料紙に『万葉集』巻第5所収の山上憶良の和歌1首を揮毫する。重心を下に置き、上部に空間をあけるとともに、前半5行と最終2行との間に余白を作り出す。上部の余白を生かすため、渇筆気味に書き始める。墨継ぎによって、その箇所が鮮明に目に映るだけでなく、視線が最終2行に流れてしまわないように、一度静止させるかのような表現となっている。最終2行は墨量を減らすことで、線の細さも相俟って、紙面左の空間を窮屈にせず、開放的なものとしている。
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日比野五鳳(ひびのごほう、本名は信、1901-85)は「大字仮名運動」を広めた一人で、戦後の書壇に大きな影響を与えた仮名書家である。代表作に、昭和26年(1951)の「浦島の歌」(日比野五鳳記念美術館所蔵)や、昭和43年の「ひよこ」(東京国立博物館)がある。昭和58年に文化功労者に選出された。筆先の命毛が常に紙面に垂直に当たる直筆と、筆先を露わにしない蔵鋒を強く意識した書作品を制作した。
本品は五鳳の生前に発表されることのなかった作品である。具引きした白の料紙に『万葉集』巻第5所収の山上憶良の和歌1首を揮毫する。重心を下に置き、上部に空間をあけるとともに、前半5行と最終2行との間に余白を作り出す。上部の余白を生かすため、渇筆気味に書き始める。墨継ぎによって、その箇所が鮮明に目に映るだけでなく、視線が最終2行に流れてしまわないように、一度静止させるかのような表現となっている。最終2行は墨量を減らすことで、線の細さも相俟って、紙面左の空間を窮屈にせず、開放的なものとしている。
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