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本品は明時代・永楽15年(1417)に、朱元璋(1328-1398)の孫である朱有燉(周憲王。号は全陽翁、東書堂、淩云軒、蘭雪軒、錦窠老人など。1379-1439)が刊行した「蘭亭図巻」で、永楽大本と分類される拓本である。朱有燉は永楽本の大本と小本の二種を刊行したが、刊行部数はごく少数であったため、これまで現存例は知られていなかった。 趙孟頫の「蘭亭十八跋」と朱翊鈏の跋文を除けば、永楽大本と万暦大本は構成が同じであるが、違いもある。巻頭の題辞が黄地の紙に「蘭亭真蹟」と記すところまでは同じだが、永楽大本は朱有燉によるものであるのに対し、万暦大本は朱翊鈏によるもので、捺される朱印も異なる。また、万暦大本では永楽本の刻石が割れてしまったため、王羲之の詩の部分に亀裂の跡が見られるが、永楽大本では当該部分の亀裂は見られない。 永楽本の現存例はこれまでに知られておらず、万暦本から永楽本の構成を推測するしかなかったが、本品によって、その推測が正しいことを確かめられる点で、本品の研究史上の重要性は高いといえる。ただし、本来であれば3種の定武本蘭亭序があるはずだが、本品から定武本・定武肥本・定武痩本の各蘭亭序が失われている点が惜しまれる。本品と同じ永楽大本と考えられるもので、同じく先行研究で存在を知られていなかった「明周王府東書堂重摹唐模賜本蘭亭序及図跋全巻」(中野三敏氏旧蔵)もあるが、こちらは朱有燉題辞と3種の定武本蘭亭序、褚遂良本蘭亭序が失われている。本品は永楽大本であることが確実で、また中野氏旧蔵本と比較して内容が充実していることに鑑みても、大変貴重な作例である。
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本品は明時代・永楽15年(1417)に、朱元璋(1328-1398)の孫である朱有燉(周憲王。号は全陽翁、東書堂、淩云軒、蘭雪軒、錦窠老人など。1379-1439)が刊行した「蘭亭図巻」で、永楽大本と分類される拓本である。朱有燉は永楽本の大本と小本の二種を刊行したが、刊行部数はごく少数であったため、これまで現存例は知られていなかった。
趙孟頫の「蘭亭十八跋」と朱翊鈏の跋文を除けば、永楽大本と万暦大本は構成が同じであるが、違いもある。巻頭の題辞が黄地の紙に「蘭亭真蹟」と記すところまでは同じだが、永楽大本は朱有燉によるものであるのに対し、万暦大本は朱翊鈏によるもので、捺される朱印も異なる。また、万暦大本では永楽本の刻石が割れてしまったため、王羲之の詩の部分に亀裂の跡が見られるが、永楽大本では当該部分の亀裂は見られない。
永楽本の現存例はこれまでに知られておらず、万暦本から永楽本の構成を推測するしかなかったが、本品によって、その推測が正しいことを確かめられる点で、本品の研究史上の重要性は高いといえる。ただし、本来であれば3種の定武本蘭亭序があるはずだが、本品から定武本・定武肥本・定武痩本の各蘭亭序が失われている点が惜しまれる。本品と同じ永楽大本と考えられるもので、同じく先行研究で存在を知られていなかった「明周王府東書堂重摹唐模賜本蘭亭序及図跋全巻」(中野三敏氏旧蔵)もあるが、こちらは朱有燉題辞と3種の定武本蘭亭序、褚遂良本蘭亭序が失われている。本品は永楽大本であることが確実で、また中野氏旧蔵本と比較して内容が充実していることに鑑みても、大変貴重な作例である。
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