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筍が伸びた夏の竹、赤い蔦の絡まる秋の竹、雪を冠った冬の竹を描く6曲1隻の屏風。本屏風は、室町時代のやまと絵屏風の作例として知られる、四季竹図屏風(メトロポリタン美術館蔵)の左隻に酷似しており、当初はメトロポリタン本にならい、春の竹林を描いた右隻を伴う一双形式の屏風であったと考えられる。 屏風に竹を描く事例は古くから知られ、たとえば平安時代中期にピークを迎えた「屏風歌(びょうぶうた)」に竹を詠んだ和歌や、鎌倉時代の神像に金地竹図らしき画中画がある。室町時代に相国寺鹿苑院蔭凉軒主が記した日記『蔭凉軒日録』にも「金屏画竹一双」といった記述があり、本屏風のような作例の存在がうかがえる。同時に、竹という単一主題で季節の移ろいを表わす構想は、五代・北宋以来の伝統をもつ墨竹図といった中国絵画からの影響も大きいとされる。さらに本図は、上記のような和漢の要素のほか、明時代の元・李衎『竹譜詳録』からの図様借用が指摘されている点も興味深い。 枯淡な作風をもつメトロポリタン本に対して、本作品は基底材を金箔地に変更して装飾性を高めた、近世初期の翻案的作例である。
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筍が伸びた夏の竹、赤い蔦の絡まる秋の竹、雪を冠った冬の竹を描く6曲1隻の屏風。本屏風は、室町時代のやまと絵屏風の作例として知られる、四季竹図屏風(メトロポリタン美術館蔵)の左隻に酷似しており、当初はメトロポリタン本にならい、春の竹林を描いた右隻を伴う一双形式の屏風であったと考えられる。
屏風に竹を描く事例は古くから知られ、たとえば平安時代中期にピークを迎えた「屏風歌(びょうぶうた)」に竹を詠んだ和歌や、鎌倉時代の神像に金地竹図らしき画中画がある。室町時代に相国寺鹿苑院蔭凉軒主が記した日記『蔭凉軒日録』にも「金屏画竹一双」といった記述があり、本屏風のような作例の存在がうかがえる。同時に、竹という単一主題で季節の移ろいを表わす構想は、五代・北宋以来の伝統をもつ墨竹図といった中国絵画からの影響も大きいとされる。さらに本図は、上記のような和漢の要素のほか、明時代の元・李衎『竹譜詳録』からの図様借用が指摘されている点も興味深い。
枯淡な作風をもつメトロポリタン本に対して、本作品は基底材を金箔地に変更して装飾性を高めた、近世初期の翻案的作例である。
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