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地蔵の霊験譚をあつめた宋代の常謹撰『地蔵菩薩霊験記』(端拱2年〈989〉成立)に収載された説話を絵画化した絵巻物。詞書は原文をほぼ忠実に和文化したもので、読み下しに近い部分も見られる。本絵巻と同じテキストを典拠とする絵巻物として、群馬・妙義神社本(重要文化財)、東京国立博物館本など鎌倉時代後半の作例が伝存しており、この説話集の絵画化がしばしば行われていたことが分かる。それらと画風や色遣いが共通することから、本絵巻も鎌倉時代後半~南北朝時代の作と推測される。中世における地蔵信仰の隆盛を明らかに示す貴重な遺例であり、かつ鎌倉時代以降の同主題の作例の展開を考える上でも欠かすことができない作品として、その稀少性は極めて高い。
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地蔵の霊験譚をあつめた宋代の常謹撰『地蔵菩薩霊験記』(端拱2年〈989〉成立)に収載された説話を絵画化した絵巻物。詞書は原文をほぼ忠実に和文化したもので、読み下しに近い部分も見られる。本絵巻と同じテキストを典拠とする絵巻物として、群馬・妙義神社本(重要文化財)、東京国立博物館本など鎌倉時代後半の作例が伝存しており、この説話集の絵画化がしばしば行われていたことが分かる。それらと画風や色遣いが共通することから、本絵巻も鎌倉時代後半~南北朝時代の作と推測される。中世における地蔵信仰の隆盛を明らかに示す貴重な遺例であり、かつ鎌倉時代以降の同主題の作例の展開を考える上でも欠かすことができない作品として、その稀少性は極めて高い。
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