色絵人物文鉢
( いろえじんぶつもんはち )
作品解説
白釉をかけた素地に黒で輪郭をとり、赤、青、ターコイズ色などで彩色した色絵陶器の鉢。見込み中央に玉座に座る人物を主文として据え、左右に2名ずつ従者の姿を描く。その上下には花文を飾り、周囲には楽士のような人物や、鳥文、さらに有翼人面の獣も描かれる。華やかな王庭で楽の音に包まれる王の姿と、その威厳の様相が表現されている。このようなモチーフは、イスラーム世界で書物の装飾的な挿絵として流行した、細密画(ミニアチュール)の影響をうかがわせる。
作品データ
- 分野
- 考古
- 員数
- 1口
- 制作地
- イラン カーシャーン
- 法量(cm)
- 口径21.5 高9.0 底径9.3
- 時代
- ホラズム・シャー朝時代
- 年代世紀
- 12-13世紀
- 所蔵者
- 東京国立博物館
色絵陶器とは
イスラームの色絵陶器は、「ミナイ手陶器」または「ミーナーイー手陶器」とも呼ばれる。セルジューク朝期の12後半~13世紀後半に制作された高級陶器で、多色のエナメルで上絵を描いた釉上彩の陶器を指す。「ミナイ」はエナメルを示すアラビア語である。緻密な描画が可能で、多彩な色彩を使用すること、ムーンフェイスともいわれる丸顔の人物が特色である。狩猟・謁見・酒宴・宮廷・樹下・口承伝承や叙事詩などが表現される。
制作方法
整形した土器に白またはターコイズブルーの白釉を施して乾燥させ、その上にトルコアーズ・ブルーやコバルトブルーで彩画して高温で一度焼成する。その後、赤や黒の鉱物顔料で描画、絵付けを施し、再度低温で定着する。二次焼成を行う大変手間のかかる釉上彩の陶器で、限られた期間にしか制作されなかった。